7.フィットネスルーム

さて、前回は高級賃貸物件の周囲環境について、フィットネスクラブを起点に考えてみた。とはいえ、そもそもフィットネスルームやプールが備わっている物件もある。ある程度地域は限定されるのだが、ある。

マンション近くのフィットネスクラブに通うよりも、フィットネスルーム付きのマンション選ぶことの優位性を解説してみよう。たとえば、男であれば、電車でメイクしている女性を見てゲンナリしたことはないだろうか。「女性のそういうところは見たくない……」と。

フランスの社会学者エミール・デュケルムが聖俗二元論によれば、人間の世界観は「聖」と「俗」に分けられるという。この場合、「聖」という人に見せてもいいもの、「俗」という人に見せてはいけないもの、に分類されると言ったほうが分かりやすいだろうか。

日本の民俗学あるいは文化人類学でいうところの「ハレとケ」と、この聖俗二元論の類似性を指摘する学者もいる。「ハレ」は「晴れ」、「晴れの舞台」「晴れ着」と言われるように、人生の中の「非日常」を指す。一方で「ケ」とは「褻」、ときに「ケガレ(褻・枯れ)」と呼ばれる「日常」のことだ。ただし「ハレとケ」の概念は、学者によって異なるため、ここで深く語ることは避けるが、いずれにせよ女性のメイク後は「聖」「ハレ」であり、メイク前あるいはメイク中の姿は「俗」「ケ」と考える人もいる。前述のように男が女性のメイク姿にゲンナリするのも、この心理状態が要因と考えられなくもない……たぶん。

しかし、それは男にしかない感覚ではなく、女性にとっても同じだ。

たとえば男がトレーニングしている姿を好きな女性は、もちろんいるが、多くの女性は「男性が寡黙にトレーニングしているところが好き」なのだという。さらに言うならば、普段着姿からは想像できない肉体を披露した時のギャップが好まれる。逆に服を脱いだら予想以上に体が緩みきっていると、百年の恋も冷めてしまうに違いない。

そこで、気になる女性の気を引くために、誰の目にさらされるか分からないフィットネスクラブより、マンション内のフィットネスルームを利用して鍛えた体を、何も知らない女性に見せつけることもまたひとつの手段かもしれない。

ちなみに、「聖俗二元論」の「俗」には「家族」も含まれる。家族に見せることは外で見せてはならないと同時に、外では見せない姿も家族には見せられるということ。愛する妻と子供には、フィットネスルーム付きマンションで自分が頑張っている姿を見せつけてやればいい。子供たちは、父の背中を見て育っていくものだ。

フィットネスルーム付きマンション、それは男が男として、夫として、父として生きることができる場である。

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