28.ルーフバルコニー

東京に空がない、そしてマンションには庭がない。などと考えるのは大きな間違いである。以前のコラムで取り上げた「中庭」だけでなく、高級マンションにはパーソナルな庭も存在する。

そう、高級賃貸マンションには「ルーフバルコニー」付きの物件があるのだ。ルーフバルコニーとは、階下の住居の屋根部分を活用したバルコニーのことである。したがって多くの場合は、その構造上、最上階の住人に与えられる特権ということになるのだが、建物によっては、11階建ての9階がルーフバルコニー付きになったりするケースもある。

ルーフバルコニーは、通常のバルコニーの何倍もの広さがある上、日当り良好な場合が多い。だから単なる“ベランダ”ではなく、“庭”としての活用が可能なのだ。ガーデニングを楽しむも良し、パラソルやテーブルを置いて食事やティータイムを楽しむも良し、子どもを遊ばせるスペースにしても良い。ルーフバルコニーを活用する生活を、一部では「ルーバルライフ」と呼んで、様々に楽しんでいるようだ。

また、ルーフバルコニーには「天空庭」という別名もあるそうだ。その名のイメージ通り、何といっても「見晴らしの良さを戸外で楽しめる」という点が、他の設備にはない魅力となっている。一戸建ての庭だと、周囲の景色を眼下に見るということはまずないが、ルーフバルコニーなら、都会の景色を高所から眺めつつ、目の前の緑を愛でることも出来る。さながら、都会と自然のマリアージュである。『天空の城ラピュタ』ならぬ、『天空の庭ルーバル』というわけだ。ただし調子に乗って「ルー…バルス!」なんて呪文を唱えると大変なことになるかもしれないので、注意が必要である。

ルーフバルコニーが、一年で最大の見せ場を迎えるのは、もしかすると夏の花火大会かもしれない。隅田川花火大会、たまがわ花火大会、神奈川新聞花火大会…何処に行っても、都会の花火大会は大混雑を避けられない。ゆっくり観覧したければ、有料席のチケットを手に入れるという手段もあるが、通常のルートではなかなかの競争率だ。その点、自宅のルーフバルコニーから花火を見ることが出来れば最高だ。家族でゆっくり花火鑑賞するのも良いし、ビールを飲みながら、仲間とワイワイ見るのも良い。意中の女性がいるのなら、「ウチのルーバルで一杯飲みながら、ゆっくり花火を見ない?」と誘えば、8、9割くらいの確率でOKを貰えそうだ。ホテルのスイートから眺める花火も悪くないが、ルーフバルコニーがあれば、まさかの「雨天中止」にも泣かないで済むのだから、手堅くデートに臨める。

そもそも、ルーフバルコニー付きマンションに勝るホテルの部屋というのも、それほど多くないのではないだろうか。自宅に勝るラグジュアリー無し、という訳だ。

ルーフバルコニー。それは上層階の住民のみに許された、自宅で味わうアーバンリゾートなのだ。

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