4.コンシェルジュ

高級賃貸物件の条件に、「フロントサービス」あるいは「コンシェルジュサービス」というものがある。

かつて週刊コミックパンチに連載されていた『コンシェルジュ』の作品に見られるように、一般的にホテルのサービス職のひとつがイメージされるこの職業。日本コンシェルジュ協会のウェブサイトによれば、もともと「コンシェルジュ」とは建物の門番を表す言葉だっだという。そこから19世紀ごろのヨーロッパのホテルでは、部屋の鍵を管理する役割が「コンシェルジュ」と呼ばれ、最終的に現在のような、お客様のあらゆる要望に応える役割を担う人間のことを指すようになったとある。

一方、Wikipediaによれば、フランス語の原義は「集合住宅の使用人」とのことで、現在のマンションのコンシェルジュは、玄関で入館者の応対、宅配便やクリーニング品の処理など、これまで紹介したオートロックや宅配ボックスなどの役割をこなしてくれる、まさに究極の高級賃貸物件における究極の人的設備といえるだろう。

この職業と、この言葉があまりに便利すぎたのか、世の中には様々なコンシェルジュが存在する。

・日本医療コンシェルジュ研究所：患者のエージェントとして最適な医療機関の選定やセカンドオピニオン的な助言、ガイド的な役割を果たすことで効率的な診療を目指しているという。

・東京コンシェルジュ：J-WAVEで放送されているラジオ番組で、元フジテレビの八木亜希子が東京周辺で行われる各種イベント情報を紹介している。

・歌うコンシェルジュ：NHK総合テレビで放送されている番組。NHK-Eテレ（教育テレビ）やBSの番組、さらにはオススメの美容法などをはじめとする情報を、歌手の秦万里子が「歌いながら」紹介する。

・引越コンシェルジュ：引越しに関する悩みをまとめて解決してくれるポータルサイトだが、肝心の運営者が東京電力……。

・クラブコンシェルジュ：もはや説明の余地はありません。

ともあれ、これだけ名も実も「役に立つ存在」であるコンシェルジュは、高級賃貸マンションに住む職業人とって、非常にありがたい存在である。勘違いしてはいけないのは、コンシェルジュと「執事（ギャルソン）」あるいは「メイド（女性使用人）」で異なるものっであり、間違っても「お帰りなさい、ご主人さま」と言うことはない。

コンシェルジュは居住者の「命令を聞く」のではなく、「依頼を受ける」ことが仕事なのだと、居住者が理解しておく必要があるだろう。

コンシェルジュサービス、それは男に大人としての言動を求める尊い存在なのだ。

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