この高級賃貸マンションのコラムで、満を持してこのテーマを取り上げる時が来た。「最上階」である。前回の「角部屋」と同様、マンション選びにおいて、普遍的な最高ステータスとも言えるのが「最上階」。両方を合わせた「最上階の角部屋」ともなれば、マンション随一のステータスを誇ることが出来るわけだ。
一般に、最上階のメリットと言えば、上の階の騒音がないことが挙げられる。ただ、高級賃貸マンションは遮音性に優れているから、最上階以外の住居でも、あまり騒音が問題になることはない。
それならば、高級マンションにおける最上階のメリットとは何か。
まず、最上階には特別な間取りが用意されていることがある。メゾネット、ルーフバルコニー、より高めの天井等、他の部屋とは一味違うのが最上階だ。まさに“最上”の名にふさわしいリュクスな空間が広がっている。
次に、圧倒的な眺望の良さである。特に高層タワーマンションの場合は、建物最大の魅力を存分に味わえるのが最上階だ。
大きな窓から階下を見下ろしていると、人や車の流れが、とても小さく見える。せわしない街の動きが何処か遠い場所にあるように思え、気がつけば長い時間が経っていたりする。そうやって普段よりも広い視野で、遠くまで景色を眺めていると、今抱えている悩み事や考え事が、とても小さく思えてくるものだ。
「見下ろす」ことに喜びを見出すのは、ともすれば傲慢に映るかもしれない。しかし、それは物事の本質ではない。日頃の喧噪と距離を置き、世界を俯瞰で眺めると、思いがけず閃きや悟りを得られることがある。それこそが、高い場所から景色を眺めることの意義である。
そしてそれは、もしかしたら、男が都会で暮らすことの意義でもあるのかもしれない。日々、街を動かし、新しい流れを作ろうと努力する男達は、常に街をよく眺め、見渡していなければならないのだ。そう考えた時、高層マンションの最上階ほど最適な場所はないだろう。
Mt.GOXが突然の閉鎖を迎え、ビットコインの貨幣価値が揺らいでいるように、今のご時世、確実な資産と呼べるようなものは何もないのかもしれない。
それならば、仮想通貨に注ぎ込むつもりの資産を少し引越し予算に上乗せして、マンションの最上階に住んでみるというのも1つの選択だ。
なぜなら最上階は、アーバンライフの醍醐味が詰まった究極の住居であり、そこに住む経験はプライスレスだからである。
高級賃貸マンションの最上階。それは常に上を目指し続ける男だけに与えられた玉座である。男たるもの、王を目指せ。そして世界に君臨せよ。