5.ドアホン

言葉というのは難しい。高級賃貸物件の設備に「TVドアホン」というものがある。このワードを検索しようとすると「TVドアーホン」だったり「インターホン」だったりと、同じものでも名称が異なったりする。そこで「ドアホン」とAndroidのキーを叩いていたら、なぜかワード予想で「ド阿呆」と出てきたり。現代の携帯は大阪弁も標準装備だ。

ということで、今回は「ド阿呆」について考え……てみるわけがない。テーマは「ドアホン」だ。

繰り返し述べているように、高級賃貸物件というのは「安全」が最大のメリットである。以前に紹介したオートロックには、必ずといっていいほど「ドアホン」が必要となってくるといえよう。部屋の中にいる人間にとってみれば、訪問者が誰か、建物の中に入ってくることができれば、これほど安心なことはない。

毎年、年末になると必ずといっていいほど放映される時代劇の王道『忠臣蔵』のラストシーンを考えてみよう。赤穂浪士が主君・浅野内匠頭の敵(かたき)、吉良上野介の屋敷へと討ち入りを敢行し、最後に吉良が隠れている物置へたどり着くまでの流れは、どのドラマ・映画も共通している。

しかし、ここからの解釈が作品によって異なる。そもそも赤穂浪士はそれほど高い位を持たない元赤穂藩士によって構成されており、貴族と武士を繋ぐという重責を担っていた高官・吉良の顔など知る由もない。

我々の生活も同じだ。これだけ人口が集中しているコンクリートジャングル、あるいは東京砂漠で自宅を訪れてくる人を、みんな誰か知っているわけがないだろう。

そこで赤穂浪士は吉良らしき老人を見つけ、その名を尋ねる。大方の作品では、吉良は往生際が悪すぎるあまり、赤穂浪士たちにあっさりと仕留められてしまう。

一方で1985年末に日本テレビで放映された『忠臣蔵』は、物置に潜む吉良がその名を問われた際、「敦盛」(織田信長が死に際に舞った)を舞うことで位の高い者としてのプライドを見せつけ、赤穂浪士も敬意を持って主君の敵を討つのであった。

何百年経とうと、どれだけ文明が発達しようと、名前と顔の確認は重要な問題である。

ちなみに、その吉良上野介を演じた森繁久彌さんは200911月に亡くなり、世田谷区は小田急線千歳船橋駅から旧森繁邸に繋がる千歳船橋商店街の一通りを「森繁通り」と命名。この「森繁通り」を抜けたところにある世田谷区船橋は、高級住宅街だ。

また、GHQは戦後の日本に対し、仇討ちを恐れて忠臣蔵の上演を禁じた。

ドアホンによって相手を確認する、それは現代ニッポン男子の生き様である。

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