20.ヴィンテージマンション

Vintage. 出来れば下唇を噛んだ「ヴィ」で、一緒に発音して頂きたい。さあ、Repeat after me, “vintage”. ああ、その芳しく豊かな響き。元々はふくよかで繊細な年代物のワインを表すこの言葉が、実は昨今、不動産業界でも注目を集めていることをご存知だろうか。前々回の「閑静な住宅街」に続き、今回のコラムも高級賃貸マンションのエスプリとも言えるテーマでお届けしたいと思う。そう、「ヴィンテージマンション」である。

「ヴィンテージマンション」とは、年を経るごとに魅力を増すと共に、その資産価値も上がっていく希少なマンションを指す。築年数が長くなればなるほど資産価値が下がる、というのが常識だった不動産業界において、非常に型破りな存在と言っていいだろう。

具体的には、「デザイン性に優れたハイグレード物件」「築10年以上」「立地条件が良い」「メンテナンスがしっかり行われている」等の条件を満たすマンションに“ヴィンテージ”の称号が与えられる。住み心地の良さなどで有名な物件も多く、そこに住むことはもはや1つのステータスとなっている。

時間を重ねても価値が下がらない、むしろ価値が上がるから“ヴィンテージ”と名付けたのは、なかなか言い得て妙である。ヴィンテージワイン、ヴィンテージデニム、ヴィンテージカーと同じで、ちょっと玄人好みな匂いがする。「若い子には、少し早いかもしれないね」なんて言いたくなるような、まさに大人の男女にピッタリの物件ではないか。

しかし、よく考えてみれば「古いものこそ価値が上がる」という価値観は、本来は当然の考え方なのかもしれない。古い建物を壊して、どんどん新たに建設していくのは、高度成長期の日本的な価値観だ。欧米では古い住宅が好まれる傾向があるし、最近は日本の中古住宅市場も活性化してきている。リノベーションという言葉が一般的になってきているのも、「より長く、快適に住む」という価値観の表れではないだろうか。

だから、ヴィンテージマンションも、今後少しずつ増えていくのかもしれない。

女性に生まれ年のヴィンテージワインをプレゼントするように、生まれ年のヴィンテージマンションに住まわせる……なんていうのも一興だ。

時間を重ねたものには、オリジナルな美しさが生まれてくる。女性の美もまた同様だというのが筆者の持論である。若い女性ばかりチヤホヤするのは、野暮というものだ。かといって別に、“20代にしか見えない40代の美魔女”を賞賛しているのでもない。有意義な時間を重ねて来た女性は、成熟した色気と知性を漂わせる。その魅力がわかった瞬間、男もまた一つ大人になるのだ。

ヴィンテージマンション、それは真の大人だけが十分に魅力を味わえる、贅沢でmatureな居住空間なのである。

ご自宅の賃貸募集を検討中のオーナーさまへ

Livedoor news
当社モダンスタンダードの記事が、
Livedoor newsで配信されました。
Excite news
当社モダンスタンダードの記事が、
Excite newsで配信されました。

follow us in feedly