22.ディスポーザー

嫌な想い出や過去を水に流すように、嫌な生ゴミも水に流せる時代になった。

キッチンのシンクで水を流しながら、ヘラ等を使って生ゴミを排水口に押し込んでいく。すると、排水口の直下に取り付けられた機械が力強く生ゴミを破砕し、ゴミはそのまま下水道へ流れていく。そう、それは「生ゴミの水分が垂れないよう細心の注意を払いながらゴミを捨てる」という憂鬱な時間から、人類が解放された瞬間だった——。

この生ゴミ処理機こそ「ディスポーザー」、本日のテーマである。

シックで洗練されたライフスタイルを理想とする読者諸兄におかれては、台所の三角コーナーほど目障りな存在はないだろう。もし世の中に“生活感を感じさせる小物ランキング”があれば、三角コーナーは堂々の上位に入ってくること間違いない。

しかしディスポーザーさえあれば、もはや三角コーナーは無用の長物となる。三角コーナー1杯分の生ゴミなら、大体30秒から40秒、長くても2分ほどあれば、粉砕して排水することができる。『大改造!!劇的ビフォーアフター』なら、確実に「なんということでしょう!」のナレーションが入るに違いない。

こんな夢の装置に思えるディスポーザーだが、もし自分で設置してみたいと思う方がいたら注意して頂きたい。多くの自治体が、粉砕した生ゴミを直接下水道に流す「単体ディスポーザー」の使用を認めていない。特に東京都の場合は、条例違反となってしまうので要注意だ。排水処理装置を通してから下水道に流す「ディスポーザー排水処理システム」であれば、問題なく使用できるが、これは素人がイチから導入できるものではないので、業者への依頼が必要となる。

もっとも、ディスポーザー設置済みの高級賃貸マンションであれば、当然ルールに適合されたものが備え付けられているので、住民は心配不要だ。

そして実は、高級マンションのディスポーザーというのは、建物全体の環境整備にも貢献している。ディスポーザーがあれば、ゴミ出しの際にエレベーターやゴミ置き場等の共有スペースを汚すことも減るし、夏場でも臭いが発生しにくくなる。ゴミ置き場が屋外にあるマンションでも、カラスや猫に荒らされる被害が少なくなるだろう。

また、世間でGやゴッキー等と呼ばれて女性を中心に毛嫌いされている、あの黒い虫ともおそらく縁遠くなれる。何せ、彼らを寄せつける生ゴミが跡形も無くなってしまうのだから。

ディスポーザー、それは今日も寡黙に汚れ仕事を引き受ける、言うなれば“ダーティハリー”のような存在である。高級賃貸マンションの品格を陰で支える功労者に、男として敬意を表したい。

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