1.オートロック

高級賃貸物件が「高級」である所以は、何も物件の所在地ばかりではない。むしろ物件の設備について考えることこそが本質的であるといえよう。その中で、「賃貸物件で欲しい設備」アンケートランキングの常連といえば、オートロック機能が挙げられる。

もはやオートロック機能のことは知らない者はいないと思うが、あえて説明しておくと不審な侵入者を防ぐシステムだ。マンションならばそのエントランスでインターフォンを押し、その部屋に住む者が訪問者を確認してドアを開ける。居住者も専用のキーやカードなどを使用しないと、中に入ることはできないほどの厳重さを誇る。

だから寝起きドッキリを仕掛けようとアイドルの自宅や部屋に忍びこもうとしても、マンションの管理人やマネージャーからキーやカードを借りておかなくてはならない。同時に、仕掛けるアイドルにも訪れる日時を知らせておく必要がある……かどうかはともかく。

現代日本において「安全」とは金で買うものだ。小さい子供がいる家族だと、そんな安全な機能を求めることも重要である。同時に、家族以外の女性に一人暮らしをさせるにも、オートロック機能付きマンションを借りてあげたほうがいい……かどうかはともかく。

それだけ世の中には危険が溢れている。『新世紀エヴァンゲリオン』使徒との戦い、そして仲間との触れ合いを通じて、碇シンジは頑なまでに閉じていた心の扉を次第に開いていった。そこに現れた渚カヲルの言葉にシンジは魅了されていくも、結局カヲルは最後の使徒であり、彼がターミナルドグマのアダムへ近づくために自分が利用されたのだと気付く。

そのカヲルは強力なA.T.フィールドを展開できる。A.T.フィールドとは「絶対恐怖領域」あるいは「絶対領域」と訳されているが、同作監督の庵野秀明氏は「A.T.フィールドとは心の壁のようなもの」と表現し、またカヲル自身も同様のセリフを残している。

作中の設定では、A.T.フィールドがなくなれば、人は自我が崩壊するという。つまり世で言われるような「心の壁を取り除くこと」だけが必要なのではなく、並行して心の壁を保っておくことと両方の行為を、時と場合により使い分けられることが重要な問題なのだ。

この大都会で生き抜くためには、住居においても誰を中に入れていいのかどうか判断するための、オートロックというA.T.フィールドが求められているといえよう。

ちなみに「家に入れてくれたらOKのサイン」というのは、男の勘違いらしい。

オートロック付き物件に住むこと、それは男のA.T.フィールドが試されている。

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