17.ゲストルーム

都会に生き、世界を股にかけるビジネスパーソンなら、極めてありそうなこんなシチュエーション。

——海外の親しいクライアントから、久々のメール。「急な出張で日本に向かっている。間もなくフライトだ。まだホテルすら予約できてないんだが、まあ行けば何とかなるだろう。夜は少し時間が取れるから、よかったら一杯飲まないか」。

ここでサッと都心の高級ホテルを手配できれば、一流のビジネスパーソンとして合格だ。しかし、ちょっと普通すぎて面白味に欠けるような気もする。相手の予想や期待を超えてこそ、超一流の男。では、どうするのか。自宅の高級マンションの「ゲストルーム」に招待するのである。

そう、今回のテーマは「ゲストルーム」だ。あまり馴染みのない読者のために、ゲストルームとはどういったものか、簡単に説明しておこう。

高級賃貸マンション、特に戸数の多いタワーマンション等では、住民に来客があった際に宿泊できる部屋、すなわちゲストルームを用意している物件がある。

ホテル顔負けのラグジュアリー感あふれる部屋も多く、それでいて同じグレードのホテルに泊まるよりも、かなり費用が安い。具体的な金額は、物件によって一泊1,000円程度だったり5,000円だったりと様々だが、あくまでマンションの共用施設という位置づけなので、ほぼ実費の金額で済むという訳だ。共用スペースであるが故、事前の予約が必要だったり、何らかの利用ルールが存在したりするのだが、その辺りも物件によって事情が異なってくるので注意したい。

こう書くと、「なんだ。別にちょっとした一戸建てにだってゲストルームはあるじゃないか。宿泊料金もかからないし」と思った方もあるかもしれない。しかし、それは間違いだ。一戸建てのゲストルームと、高級マンションのゲストルームはその性質が違っている。例えるなら、故・永井一郎さんが演じる波平さんと、茶風林さんが演じる新・波平さんくらい違っている。

高級賃貸マンションのゲストルームが持つ最大の魅力は、あくまで“ホテルライク”だということだ。部屋の雰囲気もさることながら、バスやトイレ付き、中にはミニキッチンも併設されているゲストルームもあるから、宿泊する側も、招待する住民側も気兼ねなく過ごせる。プライバシーを適度に保ちながら、楽しい時間を共有できる、まさにオトナの空間だ。これなら、冒頭に挙げたようなシチュエーションでも、ゲストと心置きなく酒を酌み交わせるし、またある日、別れた妻がひょっこり姿を現したとしても大丈夫……かどうかは、筆者は保証しない。

高級賃貸マンションのゲストルームを使いこなすこと。それは、付かず離れずの適度な距離感を築ける、成熟した男の証明なのである。

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