東京都内でオトナの男が憧れる地域を、大まかではあるが分けてみよう。
それは「赤坂・西麻布・六本木」、あるいは「恵比寿・代官山・中目黒」といったものになるだろうか。
どちらかといえば前者は日本最大の高級繁華街であり、後者は日本最大の高級住宅地といえるかもしれない。
ただし、当然のごとく、各地域にもそれぞれの個性がある。
中でも、中目黒という場所は独特だった。
なにせ代官山や恵比寿と比較しても、東急東横線・中目黒駅前には、これといった大きな商業施設がないのである。
そんな中目黒でも、もちろん再開発が行なわれ、2002年4月には複合施設「中目黒ゲートタウン」が完成している。
しかしながら店舗中心ではないどころか、オフィス中心のタワービルであることが中目黒らしさを表しているといえるだろう。
その中目黒ゲートタウンの敷地内には、目黒区内では最高峰のタワーマンション「中目黒アトラスタワー」が、2009年10月にデビューした。
地上45階、高さ164メートル、総戸数495戸数。まさに中目黒のシンボル、ランドマークタワーとして存在するこの巨大マンションだが、あまりに意外な点がひとつ。
低層部分に入っているのは、コンビニのセブンイレブン、イタリアンファミリーレストラン・サイゼリア、あるいはこの中目黒地域で古くより経営されていた医院・薬局などで占められているからだ。
これには深い理由がある。そもそも中目黒駅前の再開発は、他地域と異なり大手ディベロッパーではなく地元住民が主導となって行なわれたものであるという。
つまり、新規住民の獲得も、目黒区や地元住民にとっては重要なことであるものの、同時に地元の商店などが再開発の恩恵を受けられなければ意味はない。
そこでタワーマンションの中は地元商店をそのまま活かし、さらに隣には「上目黒一丁目アパート」という、目黒区に1年以上居住している低所得者向けの賃貸住宅も建てられている。
まさに地元住民の、地元住民による。地元住民のための再開発であったのだ。
ロンドンオリンピックでは、個人競技以上に団体戦が注目されている。
個人競技でもメダルを獲得している選手が、団体戦でそれ以上のタイム/得点を叩きだしているケースも稀ではなく、史上初の“金メダル”無しに終わった柔道に関し、「オリンピックに団体戦を導入してみては?」という意見も出ているほどだ。
個人よりも団体――今のニッポンに最も必要な姿だ、という評価も多い。
そして、五輪に負けない団体戦によって生み出された「中目黒アトラスタワー」、住み心地は金メダル級である。