前回に続いて紹介するのは、「キャナルワーフタワーズ ウエストタワー」だ。
そもそも「キャナルワーフタワーズ」とは、どんな意味なのだろうか? ここでそれぞれの名詞を分解して遊んで……ではなく、考えてみたい。
キャナル(canal):運河、水路のこと。
ワーフ(wharf):波止場、埠頭を意味する。
隅田川という運河の埠頭にそびえる高層タワーマンション、それこそが「キャナルワーフタワーズ」であり、つまり豊洲地域を代表する建物という意気込みだろう。
もともと「川」あるいは「河」という存在は、人類の繁栄にとって必要不可欠なものだった。
世界四大文明は、それぞれメソポタミア文明:チグリス川とユーフラテス川、エジプト文明:ナイル川、インダス文明:インダス川、黄河文明:黄河という河川の恩恵を受けて発展した文明であるという区分がなされたほどだ。
時に物の流通、時に自然の流通に対して河川は大きな役割を果たしてくれた。
もちろん氾濫を起こし人々を苦境に立たせることもあるが、それがまた人々を成長させたともいえる。
日本の一級河川・隅田川はどうだろう?
平安時代から『伊勢物語』や『更級日記』といった作品の舞台のひとつになり、江戸時代には隅田川を題材とした歌舞伎や能も作られた。
江戸幕府にとっては当然のごとく商業上の拠点となって、付近には多くの商店が軒を連ねるようになる。
もともと木造の橋が架けられていたものの、その多くが関東大震災によって被害を受けたこと、さらに自動車の普及により銅製や鉄製の橋が建設されていくことに。
勝鬨橋、吾妻橋、駒形橋、両国橋など、全国的に知られた橋梁の多くは、この隅田川に関わっているものといえよう。
世界でも稀にみる水大国である我がニッポンだけに、河川や運河、海と港が経済の発展に大きな役割を果たしてきた。
琵琶湖から流れ、関西――特に大阪と京都を支えてきた一級河川・淀川。
愛知県名古屋は、庄内川や堀川など、大きな河川が存在する巨大都市だ。
太平洋から名取川が注ぐ宮城県仙台、港から那珂川へと水運が大発展している福岡県博多……。
中でもまさに日本の時代を見つめてきた、国内最大の河川・隅田川をさらに見つめながら生活を送ることができる、それが「キャナルワーフタワーズ」であり、新しい豊洲橋の麓に建設されている「キャナルワーフタワーズ ウエストタワー」なのだ。
男の憧れ・石原裕次郎はいつだって波止場が似合った。
現代なら、隅田川沿いの高級マンションに似合いたい。
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