東京都内最大の高級マンション激戦区・西新宿。
2012年末、都知事選によってこの地のシンボル・都庁の主が石原慎太郎から猪瀬直樹に交代されたことから、2013年はさらに西新宿エリアに注目が集まるだろう。
そんな西新宿に、「アトラスタワー西新宿」という高級分譲賃貸マンションがある。
旭化成ホームズが分譲を担当したこの物件は、「N.Y.T.アトラスタワー西新宿」という名称で呼ばれることもあるのだが、冠の「N.Y.T.」とは何の略なのだろうか。
今回は、西新宿という地域の歴史を紐解きながら、その答えを探してみたい。
現在の西新宿と呼ばれるエリアはかつて東京35区制時代に、神田川にかかる橋から「淀橋区」という名がつけられた、都内有数の農村であった。
新宿駅の発展により繁華街&ビジネス街が拡大する中、東京都も23区制へ移行。
結果、淀橋区は新宿区となり、1960年代には淀橋浄水場跡で大規模な再開発が行なわれ、現在のような西新宿が構築されていくことに。
その名残で、今も高級マンションが立ち並ぶ西新宿一帯を「淀橋」と呼ぶこともある。
今や東京・秋葉原と大阪・梅田でターミナル的な巨大店舗を経営する最大の家電量販店「ヨドバシカメラ」は、この地で創業された。
ゆえにどれだけ経営が拡大されようとも、西新宿のヨドバシカメラこそがその拠点なのだ。
前述のとおり、この西新宿=淀橋エリアの象徴は神田川。
「アトラスタワー西新宿」は地上28階建、高さは105m、総戸数は224と周囲の各高級マンションと比較しても圧倒的な存在感を誇っており、かつ神田川に最も近い物件のひとつだ。
そう、窓の下には神田川である。もうひとついえば、目の前はフォークダンスDE成子坂である。長渕剛『西新宿の親父の唄』にもあるとおり、「やるなら今しかねえ」。
賢明な読者の皆さんは、もうお気づきだろう。
冒頭に挙げた「N.Y.T.」とは何の略なのか――上記の歴史を鑑みると、答えは自然と出てくる。
「Nishi-Shinjuku, Yodobashi of Tokyo」、つまり「東京、淀橋、西新宿」とこの地の歴史を表している……。
というわけではない。答えは「New Scene of Tokyo」、東京に新しいシーンをもたらす高層タワービルということだ。世の中、そう幻想的には出来ていない。
それでも、窓の下には神田川であり、フォークダンスDE成子坂である。由緒ある地が、日本最大の高級マンション激戦区となった。
都知事も変わった。政権も変わった。そして男たちは西新宿へ集う。
やるなら今しかねえ、住むなら「アトラスタワー西新宿」しかない。