「高級マンション」と聞けば、なんだかセレブなイメージを思い浮かべる人も多いかもしれない。
それはある意味正しい。でなければ“高級”という言葉をつける必要もないからだ。
しかし人によって“高級とは何か”という認識は異なるものであり、それは当コラムのトップページで述べているとおりである。
とはいえ、やはり高い・安いという言葉は金銭に関するものに対して最も使われる。
そこで今回は芝浦エリアの地上23階建てタワーマンション「芝浦スクエアハイツ」を例に、“高級とは何か”を改めて考えてみたい。
なぜこの物件を例に取り上げるかといえば、なにせ賃料が他の高級物件と比較して安いのである。
上層階の3LDKあるいは3SLDKで20万円を下回り、1LDKで13,8000円、1Rの部屋に至っては85,000円だ。
管理費も15,000円、敷金は1.0ヶ月、礼金も高くて1.0ヶ月といった具合。
にも関わらず1Rの部屋はフローリングの洋室10.2帖……3LDKの部屋はリビング10.3帖、6帖と和室、6帖と4.8帖の和室がひとつずつ。
正直この原稿を書いている時点で、他の人に紹介するまでもなく自分自身が住みたくなってくるレベルなのだ。いや、マジで。
ここまでリーズナブルなのはなぜだろう?
隣が墓地なのか……いや、カワイイ遊具が設置された公園である。
ということは、高層階から見てはいけないものが見えるのか……なんてことはない。
部屋は南北のバルコニーがあり、北はスカイツリー、南はお台場を一望できるという。
だから思う。絢香も加藤ミリヤも東方神起も歌う。「WHY?」
その理由のひとつとして、築年数が挙げられるだろう。
築年月は1989年2月、時代が昭和から平成に変わる直前である。
同年に生まれた西野カナは「if」と歌っていても「WHY?」とは歌っていないが、そんなことはともかく2012年11月時点で築23年が経過しており、確かに賃料がこれだけ下がるのは分からなくもない。
しかしそこはさすがのデザイナーズマンションだといえる。
エントランスとバルコニーに用いられた爽やかな水色、白で統一されたエントランス、畳が敷かれているのになんだかモダンな和室もあったりと、なんだか心が落ち着く雰囲気だ。
1989年は年号が昭和から平成に変わったように、全てが変わった1年だった。
世界ではベルリンの壁が壊されるという歴史的な出来事があり、日本でも流行語大賞で『NOと言える日本』が特別部門語録賞に。受賞者は石原慎太郎である。
音楽では今年復活したプリンセスプリンセスの最盛期でもあった。
なんだか運命的なものが感じられる「芝浦スクエアハイツ」、やっぱり住みたいなぁ。