賃貸物件を探す場合、「その近隣に何かあるか」は入居を決めるうえで重要な基準だ。むしろ、近隣に何があるかで賃貸物件の価値が大きく変わってくると言ってもいい。
自分の生活エリアに何があれば嬉しいのだろうか。
家族連れならスーパーマーケットと言いたいところだが、仕事から帰宅する時間が遅くなってしまうことが多い独り暮らしだと、だいたい夜9~10時あたりに閉店してしまうスーパーはやや不便。やはり24時間営業のコンビニエンスストアはありがたい存在だが、品揃えや価格はコンビニ利用の大きなデメリットとなる。
高級レジデンスシリーズの中には、ビル内にスーパーが設置されている物件もあるものの、やはり希少性が高い。
では、伊藤忠都市開発がプロデュースする高級レジデンスシリーズ「アルティス」の近隣に何があるのか。今回はこれまでに紹介した以外の2つの物件を例に挙げながら考えてみよう。
まずアルティス京橋は、もちろん京橋だけでなく銀座、八丁堀あたりにコンビニもスーパーもないわけではないが、それ以上に徒歩圏内にオープンした「マルエツ プチ」は、この物件を選択する大きな要因となるに違いない。
都心の人口増加と地価の下落により大手スーパーの小型店が都心に続々とオープンする中、2009年にオープンした「マルエツ プチ日本橋店」は、まず営業時間が朝7時~夜10時。商品価格も品揃えもマルエツの通常店舗と同じレベルで、お弁当や総菜などは夕方から夜になればスーパーでよく見られる「半額シール」が貼られていたりするなど、もうコンビニの存在を脅かしそうな勢いだ。
アルティス芝公園にほど近いスーパーマーケット「フェニックス」も、他のスーパーとは一線を画している。
「生鮮をより新鮮に、新鮮をより多くの方々に」をモットーに、池栄グループが首都圏に7店舗を展開している「フェニックス」は、健康安全食品専門販売の「こだわりや」も首都圏で13店舗を運営。新鮮な食材を揃え、しかも24時間営業というだけに、貴重な都会の独り暮らしのパートナーだろう。
同じくイオングループによるスーパー「まいばすけっと」も、営業時間は朝7時から夜24時まで。その利便性は高い。
街とは相互関係によって成立するビジネスだ。高級物件があるから、こうした「食」を確保してくれる店も成り立つ。その逆も然りで、周辺に便利なお店が並ぶからこそ高級物件も建設されていく。人が生きるうえで、「食」にこだわらずに何にこだわるのか。
アルティスシリーズ、それは伊藤忠によりしっかりプランニングされたビジネスである。